「宵まち横丁」の酒場放浪記

 高知城からほど近い大橋通商店街の南に、「宵まち横丁」という古くからの酒場通りがあります。戦災でほとんどが焼けてしまった高知市ですが、この界隈は、幸運にも焼け残ったそうで、路地全体が戦前からの古いの趣を残しており、「宵まち横丁」という名前と相まってどこかしら懐かしい味わいを醸し出しています。そしてここには、個性的な居酒屋が多く、県内県外からの熱心なファンがそれぞれのお店を支えています。
 このレポートは、「宵まち横丁の酒場放浪記」と銘打って、この通りの酒場を全て飲み歩いたうえで、各店の魅力や名物料理をご紹介して、高知の食とお酒をアピールしよう、という試みでございます。

1.ときわ
 まず、一軒目は「ときわ」です。昨年の春、吉田類の「本家」酒場放浪記でも放映された名店で、「野草ハマアザミの天麩羅」や「皮くじらとニンニク葉のすき焼き」など室戸市出身者には、ソウルフードとも言える名物料理があります。
 今回いただいた中で、レポーターが気に入った料理としては、「地ガキのトマトソース」「イチジクのワイン煮」などがおすすめでした。「のれそれ」という土佐独特の料理(アナゴの稚魚)も鮮度抜群でした。

2.ひさご
 「ひさご」は、この通りで現在営業している店の中では2番目に古い歴史を持っています。先代女将からの常連さんとして地元新聞社や放送局などの方が長く贔屓にしてきた店だそうで、レポーターがおじゃました時も、大河ドラマで高知県が大変お世話になった放送局の地元トップの方がカウンターに座ってコップ酒を楽しんでおりました。
いただいた料理は、日曜市で仕入れた巨大大根を使った、高さ10センチほどのビッグな「おでん」と久々に食べる「フカの鉄干し」。お酒は、四万十の栗焼酎「ダバダ火振り」でした。

3.あんぐら
 「あんぐら」の名前の由来は、店のご主人が釣りキチなのでアングラーを縮めたものとのことです。高知出身の奥さんについて高知に移住してきたのも釣りができるからというのが大きな動機だったそうで、海のルアーづりやフライフィッシングが専門です。
料理の素材は、春野の自家菜園で栽培しており、「ツナとルッコラのパテ」や「野菜のせいろ蒸し」「牛筋のトマト煮」などヘルシーなメニューがあります。「かつおの焼き切り」も桜チップでいぶして一手間かけるこだわりよう。変わり種メニューは、「サンドイッチの天麩羅」とチリソースで食べる「あんぐら流チキンライス」。お酒に良く合います。

4.四万十
 ここのご主人も釣りが趣味で、店の中には高知の魚の剥製をドライフラワーのように飾っています。その魚種の多さと色の鮮やかさは、一見の価値があります。今日釣ってきた魚がお勧めというので注文したお刺身は、「カワハギ+肝醤油」。つづいて「ふきのとうの天麩羅」と「猪の角煮」と海、山、の幸を順番にいただいたけば、次は当然川の幸。
大きなのが「鮎の薫製」、やや小振りなほうは「鮎の干物」。ぱりぱりの食感を楽しんでいると大将が「骨酒やってみるかえ」。はいもちろんです。香ばしく炙ってもらいコップ酒にいれていただきました。

5.きよ
 宵まち横丁で最も古くから営業している店。「きよ」は、先代のお母さんの名前で、今は、二代目の千津さんが経営しています。とはいうものの先代から店を引き継いだのが昭和33年と言いますから、千津さんの「きよ」になってから50年以上たっています。
一人暮らしだけれどもお孫さんがよく訪ねてくれるのだと、うれしそうにお話してくれました。おつまみに出していただいたのは「生春巻き」と「野菜の煮物」。この煮物が絶品で、心あたたまる懐かしい「おばあちゃんの味」でおいしくお酒をいただきました。

6.黒尊
かつおの焼き切り(塩たたき)で有名なお店。お客さんの6割は県外の方で、土曜日に至っては、ほとんどが県外の方だそうです。私が行った日もカウンターのお隣さんは、子供の水泳大会の応援と黒尊を目的に徳島県から来たご夫婦でした。
この店は、ネットにもよく紹介されていますが、料理は大将におまかせで、「あんきも」に始まり、「地ガキ」「刺身盛り合わせ」「かつおの焼き切り」「いのししとニンニクのすき焼き」「鯖寿司」といったメニューで、それぞれボリュームたっぷり。特に鰹の一切れのサイズは県外の方には感動的な大きさだそうです。

7.田舎家
 「田舎家」を経営しているのは、高知では誰もが知っている居酒屋チェーン「吾平」の一族だそうです。2階を含めて客席数はこの横町で最も多く、壁いっぱいに貼られているメニューの種類も多く、何を注文しようか迷ってしまいます。
まずは、高知らしい味ということで、「ちちこ」(カツオの心臓)と「沖うるめの梅しそ揚げ」。次にお店推奨の「山芋団子のキノコあんかけ」「牛筋柳川」。メニュー名の楽しさで「炊き込みコロリン」。さらに「どれでも100円」のコピーにつられて「串揚げ」をリンゴ、鯨、タコ、ニンニク、茄子、各一本づつ。最後は「そば寿司」でした。

8.萬足
「萬足」は、座敷テーブル2つとカウンターだけの小さな店ですが、座敷の奥の席が特等席になっています。当日は、すごく気安い常連さんがいて、いろいろと解説をしていただきました。特等席という意味は、囲炉裏です。それもふつうの囲炉裏ではありません。
 炭火の熱を伝導してお湯がいつも沸いている酒燗システム付きの特製囲炉裏で、屋台などで見られる「チロリ」でお酒を温めています。
 料理は、おなかがいっぱいだと伝えると、しぶく「めひかり」と「梅の蜂蜜漬け」で決めてくれました。

9.唐GENKI
こちらのお店でいよいよ最後です。「唐GENKI」は開店6年目。唐揚げの唐ではなく、唐辛子の唐が店の名前の由来です。高知市の人気グルメスポット「ひろめ市場」でキムチを作っていたというお姉さんが経営者です。
 まずはお店の名前がつけられた「辛唐GENKI鍋」をいただきました。韓国風のメニューが多く、「チャンジャ海苔巻」や「ピザ風チヂミ」など日本人好みにアレンジした、辛すぎず程よい味付けです。 また、お客さんの要望が多い、お刺身なども提供しているそうです。
 レポーターのおすすめは、四万十鶏を20分かけてオーブンで焼いた「四万十鶏一本焼き」。どれも美味しく、最後のお店ということもあり、ついつい頼みすぎてしまいました。

終わりに
 「宵まち横丁」の酒場放浪記、いかがだったでしょうか。
 このレポートを読んで、貴方が「高知に、「宵まち横丁」に行ってみたい」と思ってくださいましたら、私たちの試みは成功です。
 それでは、最後までお読みくださり、ありがとうございました。 

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