カルスト、鍾乳洞。
はじめての高知旅行では「奇岩群」をテーマに旅をしました。
鉄道とバスで移動する「エコ」の旅です。

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江戸っ子です。
仕事の関係で、大阪、神戸に滞在するようになって7ヶ月が経ちました。
休みの日には、あちこち旅をしています。

奇岩群パラダイス [2009年12月09日(水) ]
夕日 FRIDAY 夕日

その日の仕事が終わり、滞在先のホテルに帰ったら、21時を過ぎていた。胃袋に夕食を詰め込み、急いで荷物をまとめると、神戸のバスターミナルに向かう。

これから高知へいく。

目指すは、四国カルスト。
四国一の雄大な光景に出会えると聞き、是が非でもいきたくなった。

「でっかい夢を持たなきゃいかんぜよ」
そう言ったのは、坂本龍馬だ。

ある暖かな秋の週末……。
23時45分、高速バスはネオンの咲き乱れる神戸を出発した。でっかいかちっさいかはともかく、旅の夢を乗せて。



――――――――――――――――――――――――――――――
夕日 SATURDAY 夕日

四国カルストは愛媛県との県境、標高1,400メートルの高地にある。

そもそもカルストって、なんだ?

炭酸カルシウムは二酸化炭素に溶けやすい性質を持つ。石灰岩の主成分である炭酸カルシウムが微量の二酸化炭素を含む雨水によって削り取られ、できた地形がカルストだ。
最近、テレビのニュースなどで、環境問題対策としてCO2(二酸化炭素)の削減という話題をよく耳にする。身近な環境問題とカルストとの間に、実は深い関わりがあった。

7時、高速バスは終点の須崎に到着した。

須崎は海と山に囲まれた港町だ。朝早いこともあり、町はとても静かだった。

名物の鍋焼きラーメンの店を探しているうちに、須崎湾に辿り着いた。


リアス式の海岸というだけあって、とにかく美しい。ヨーロッパの湖畔を彷彿とさせる。白鳥らしき鳥が水面で羽を畳んでいる姿も一役買っている。
もしも僕に時間と絵の才能があったなら、間違いなくこの場所を選んで描いていただろう。

穏やかな入り江に小型の漁船が数多く停泊していた。釣り人もいる。神戸や、まして自宅のある東京では見られないのどかな光景だ。
時間の流れが緩やかに感じられた。

欲を言えば、もう少しここでひなたぼっこをしていたかったが、いつまでもというわけにはいかない。僕には四国カルストにいくという大事な目的がある。

ところで、僕は鉄道やバスの旅が好きだ。
その地域やそこで生活を営む人々の顔を正面から覗くのが徒歩の旅だとしたら、横顔を覗けるのが鉄道やバスの旅だ。マイカーやレンタカーを使うのとは違い、環境にも優しい。
だから今回も、鉄道とバス、それに自分の足で旅をすると決めた。

公共の交通機関を利用して四国カルストへいくにしても、愛媛側からアプローチする手段はない。須崎からバスを乗り継ぎ、天狗高原までいくのが唯一のルートだと聞いている。この場合、津野町の新田というバス停で乗り換える。

新田でバスを降りて、次のバスがくるまで1時間ほどあったので、周辺を散策してみた。

近くを清流が流れていた。
なんという名前の川なんだろう?
観光パンフレットを手に入れ、調べてみると、北川川……四万十川の支流らしい。
支流とはいえ、こんなところで四万十川に出会えるとは思っていなかった。ちょっとした感動だ。


川は深い緑に染まっていた。周囲の緑と相俟って、味わいのある景観を醸していた。

それはそうと、気がかりな点がひとつあった。天狗高原ゆきのバス停が、どこを探しても見当たらないのだ。交番で尋ねても、町役場で尋ねても、バス停がどこにあるのか誰も知らないという。
困って、今度はコンビニのおば……お姉さんに尋ねてみると、「その辺に立ってれば、停まるわよ」。
そういうものなのか? かなりいい加減だ。

こちらの不安をよそに、1時間後、確かに天狗高原ゆきのバスが停まってくれた。僕達が抱いているバスのイメージとはおよそかけ離れたミニチュアのバスだ。
ボンネットに「津野町営バス」と記されていなければ、これがバスだなんて誰にもわからないはずだ。気に入った。

乗客は僕ひとりしかいない。
バスの運転手が遠くの山の頂きを指差した。「あれが天狗高原だよ」
その一帯だけ妙に白っぽいのが、遠くからでもよくわかる。

バスは対向車とすれ違うこともできないような山道をジグザグと登っていく。やがて頂上に着いた。ここが天狗高原であり、四国カルストだ。
気温は13度。須崎より、およそ10度も低い。涼しいというより、風が吹くと寒い。

足下に白い線が引かれている。線の左側には「高知県」の立て札が、右側には「愛媛県」の立て札が立っていた。文字どおり県境にきている。思わず、白い線を両足で跨いだ。
道標に従って歩いていくと、目の前に雄大なカルストの高原が広がっていた。


これが四国カルストか……!
見渡す限り、ススキの絨毯(写真ではよくわからないかもしれない)。
隙間を窺うように、薄紫色の奇岩がごろごろと転がっている。かなり奇妙な光景だ。
見上げれば、今日は最高の秋晴れだ。澄み切った青空、白い雲との組み合わせが抜群の風景を描き出していた。


しかも雲が渦を巻いている。

凄い!
凄い!
四国カルストは凄いぞ!!


ひとたび高原に飛び出せば、○○に形が似ていることから「○○岩」といったこじつけの案内表示もないし、胸にバッジをつけた人が「これはこうだ」と説明してくれるわけでもない。
歩いて、自分の目で見渡して、肌で感じたものがすべてだ。

バスを乗り継ぎ、何時間もかけてやってきただけの価値はある。

奥にいくと、牛の放牧も見られた。黒や茶色の牛が、山の斜面でススキの葉をムシャムシャと食んでいる。人懐っこい目で、ときどきこちらをじっと見る。そしてまたひたすら口を動かす。
動物園や観光牧場で見る牛より、なぜか生き生きとしていた。


素晴らしい大自然と出会えた。

再びバスで移動し、予約した宿のあるはりまや橋に着いたのは、20時。とっぷりと日が暮れていた。
須崎で鍋焼きラーメンを食べ損ねたので、はりまや橋の近くで豚骨ラーメンを食べた。どろっとしたスープの本格派のラーメンだ。

単身赴任で神戸に移り住むようになって、半年近くが経つ。故郷の東京にはたまにしか帰れない。
東京に置いてきた家族と次に会えるのは、2週間後の予定だ。
折角なので、土産物屋で、カツオの加工品や坂本龍馬関連のグッズを買った。店頭に並べてあったブルーベリー羊羹が美味そうに見えたので、これも買った。

明日も朝早いし、疲れたので、今日はもう寝るとしよう。



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夕日 SUNDAY 夕日

四国が誇るもうひとつの奇岩群が、高知にある。
それは龍河洞だ。

国の天然記念物に指定されている鍾乳洞で、日本3大鍾乳洞のひとつと言われる。
カルストも鍾乳洞も、もとを辿れば同じだ。地上にできたか地下にできたかという違いだけで、石灰岩の生み出した芸術ということに変わりはない。

昨夜、「龍河洞には、いった? あそこはいいよ」と、宿のおば……お姉さんも勧めてくれた。
今日は龍河洞を訪ねることに決めた。

その前に、やはり高知市内の定番を観光しておきたい。
まずは、坂本龍馬で有名な桂浜だ……ぜよ。

6時30分、宿を出発。
桂浜まで始発のバスで揺られること、30分。
旅行のパンフレットでお馴染みのあの風景がそこにあった。桂浜のシンボル、龍王岬も好意的に解釈すれば奇岩だ。

今日も気持ちのいい青空が広がっている。午前中だからなのか、観光客の姿も疎らで、心の洗濯をするにはもってこいだ。
潮の香りをいっぱい胸に吸い込んだ。

それから高知城、日曜市に寄った。
プロフィール画像の可愛らしいフクロウは、実は日曜市で気に入って買ったものだ。竹の皮でできている。200円。バスの窓際に置き、はりまや橋の前を通ったときに記念に撮影した。

いよいよ龍河洞に向けて出発だ。
高知駅にいくと、たまたま土佐くろしお鉄道直通の電車がプラットホームに停車していたので、それに乗ってみた。

驚いた。
なんと、この電車は車両の片側(進行方向右半分)がオープンデッキになっている。窓がなく、吹きさらしになっているのだ。同じ吹きさらしでも、いわゆるトロッコ列車とは趣が異なる。
今日みたいに天気のいい日にデッキに立つと、吹き抜けていく風がとても心地よい。

オープンデッキの電車に乗るのははじめての経験なので、子供のように心が躍った。
もうちょっとこの電車に乗っていたかったが、龍河洞へいくには、のいち駅で降りざるを得なかった。残念だ。

のいち駅から龍河洞まで徒歩でいこうと試みたが、「龍河洞7km」の交通案内板を見て、めげた。タクシーに頼ってしまった。

さて、目的地に到着した。鍾乳洞に足を踏み入れる。


神秘的だ。
幻想的でもあった。

子供の頃に読んだ江戸川乱歩のミステリーを思い出した。怪人二十面相がこんな空間を隠れ家に利用していた気がする。僕は小林少年になった気分で、狭い洞窟を進んでいった。


氷柱のように垂れ下がる石や、オーロラのように緩やかにうねる石が、黄色や赤の光に照らされて妖しく輝いていた。

このあたりになると、少年探偵団というよりも、むしろインディジョーンズさながらの雰囲気だ。僕はハリソンフォードになった気分で……以下、略。


迫力満点だ。
鍾乳石がまるで生き物に見える。

さらに鍾乳洞を進むと、真上からキュッキュッと無数の音が反響する。コウモリの鳴き声だ。この鍾乳洞はコウモリの貴重な住み処になっている。

そして極めつけは「神の壺」だ。
洞内に鍾乳石と一体化しているフラスコ型の壺があった。これが神の壺だ。
壺は弥生式土器だと説明書に書いてある。龍河洞は2000年前、当時の人の穴居になっていた。その頃に使われていた土器が2000年の歳月を経て、鍾乳石と融合したらしい。まさに文化と自然との融合だ。
どんな壺なのか、ぜひ自分の目で確かめてみて欲しい。

僕の高知の旅はここまでだ。今は神戸に戻る高速バスの中で、瀬戸内海に沈む夕日を見ながらこうして思い出を綴っている。


奇岩群をめぐる旅は、お世辞抜きに素晴らしかった。
四国カルストや龍河洞はもちろんよかったが、途中立ち寄った須崎湾や四万十川の支流、それにミニチュアのバス、オープンデッキの鉄道も、旅に彩りを添えてくれた。
鉄道やバスの旅ならではの醍醐味を存分に味わえた。

日本には、探せばまだ僕の知らない素敵な場所がいっぱいある。この旅が僕にそれを教えてくれた。大きな収穫だ。

四国カルストでは春から夏にかけて、オレンジ色のヒメユリが花を咲かせるという。
ヒメユリの花が咲く頃、東京に置いてきた家族を呼んで、子供達に四国カルストの雄大な自然を見せてあげたい。



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夕日 INFORMATION 夕日

  Posted at 00:06 | | この記事のURL | コメント(6)
コメント
公共交通機関での行き方が載っているのが嬉しいです。
龍河洞がとても綺麗で行ってみたくなりました
Posted by:えま  at 2009年12月23日(水) 19:53

別世界のような風景ですね。ぜひ行ってみたいです。
Posted by:あさり  at 2009年12月19日(土) 06:58

岩は何か力を感じますよね。元気をいただきました。
Posted by:とのさま  at 2009年12月17日(木) 17:34

奇岩群という目のつけどころがいい。個性的な旅でステキ!
Posted by:ガービ  at 2009年12月15日(火) 12:57

高知へ行きたい!!
Posted by:黄色  at 2009年12月12日(土) 10:10

変化に富んだ高知がわかりやすく紹介されており、目的地に着くまでの、ちょっとした寄り道もいいですね。
Posted by:鰹藁焼き  at 2009年12月10日(木) 01:59